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配偶者居住権は相続税の節税に使える?注意点も併せて解説

配偶者が亡くなった後も、残された配偶者が自宅に住み続けられるようにするために「配偶者居住権」という制度があります。

相続税の負担を抑えられる可能性があるとして注目されていますが、利用には注意すべき点もあります。

今回は、配偶者居住権の仕組みと相続税対策としてのメリット、注意点を確認します。

配偶者居住権の概要

配偶者居住権は、民法改正により20204月に新設された制度です。

亡くなった配偶者が所有していた住宅に、残された配偶者が引き続き住み続けられる権利を保障します。

民法第1030条によれば、配偶者居住権は、配偶者の終身の間存続します。

配偶者居住権は節税に使えるのか

配偶者居住権は、節税への活用が可能です。

配偶者が自宅に「配偶者居住権」を設定して一次相続を受けた場合、この権利は配偶者の死亡と同時に消滅します。

そのため、二次相続時にはこの部分は課税対象にならず、相続税はかかりません。

同居している子が家の所有権を持っていれば、配偶者の死後も住み続けられ、結果として相続税の節税につながります。

さらに配偶者居住権は、「小規模宅地等の特例」との併用が可能です。

宅地の敷地利用権や敷地所有権に対して最大80%の評価減が可能で、同居していれば両方に適用、別居していれば利用権のみに適用できます。

別居の子でも、要件を満たせば「家なき子特例」により330㎡まで80%評価減を受けられます。

利用する際の注意点

節税や生活の安定に役立つ一方で、配偶者居住権には注意点もあります。

売却・譲渡できない

配偶者居住権は「住む権利」に限定され、所有権ではありません。

第三者へ売却したり、譲渡してお金に換えたりするのは不可能です。

そのため、不動産を処分して生活費や介護費に充てたい場合に、制約となる可能性があります。

老後資金を売却で捻出する予定がある場合は、権利の設定前に十分検討が必要です。

相続放棄をすると権利も取得できない

相続放棄をすると、配偶者居住権も含めて全ての相続権を失います。

「現金や借金の相続は放棄したいが、住む権利だけ欲しい」という選択はできません。

相続放棄をすれば、居住権も自動的に失われ、住んでいた自宅から退去しなければならなくなる可能性があります。

途中で放棄すると贈与税がかかる可能性がある

設定した配偶者居住権を存続期間の途中で放棄した場合、税務上の取り扱いに注意が必要です。

無償で放棄した場合、所有者に対する贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があります。

有償で放棄した場合は、所得税の課税の対象となります。

まとめ

配偶者居住権は、残された配偶者が安心して自宅に住み続けられる制度です。

評価額を分割できるため、相続税の負担を減らせる可能性もあります。

導入を検討する際は、遺言や遺産分割の方法などを事前に決め、税理士などの専門家に相談しながら進めてください。

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