赤字決算になったら法人税は免除される?申告は必要?
会社を経営していて赤字になった場合、法人税は支払うべきか、疑問に思う方もいるかもしれません。
赤字で利益が出ていなければ税金はかからないように感じますが、実際の税務の仕組みはもう少し複雑です。
今回は、赤字決算になったときの法人税の扱いと、申告の必要性を確認します。
赤字決算とは
赤字決算とは、売上から経費を引いた最終的な利益がマイナスになっている状態です。
つまり、支出が収入を上回っています。
会計上の損益計算書では「当期純損失」と表示されます。
赤字のとき法人税はかかるのか
法人税は原則として利益に対して課税されます。
利益がマイナスであれば課税所得もゼロになるため、法人税額は発生しません。
ただし、これはあくまで「利益に対する法人税」の話であり、他の税金は別です。
赤字でも法人住民税の均等割はかかる
会社が赤字で法人税がゼロになっても、法人住民税が全くかからないわけではありません。
法人住民税は、以下の2つの部分で構成されています。
- 利益に応じて増減する「法人税割」
- 利益に関係なく一定額が課税される「均等割」
赤字決算になると、法人税割は課税対象から外れます。
しかし均等割は、最低でも7万円程度の負担が生じるため注意が必要です。
均等割の金額は、会社の資本金や従業員の人数などによって自治体ごとに決められています。
資本金が大きい企業や従業員が多い事業所は、均等割の税額も高く設定されます。
地域によっては東京23区の特例や、森林環境税などが加算される場合もあるため、自治体の情報を収集しておきましょう。
赤字でも申告は必要なのか
赤字だからといって、法人税の申告を省略してはなりません。
法人税法では、国内の法人に対して決算期ごとの確定申告を義務づけています(法人税法第74条)。
赤字・黒字に関係なく申告が必要です。
申告が必要な理由は、主に以下の3つです。
- 税務署に対して決算結果を正式に報告するため
- 赤字を翌年以降に繰り越して節税に活用するため
- 税務調査時に経営の実態を示す証拠になるため
赤字を翌期以降の黒字と相殺できる「欠損金の繰越控除」を使うには、赤字の年度も必ず申告しておく必要があります。
まとめ
赤字決算の場合、法人税は原則かかりませんが、法人住民税の均等割などの税金は発生します。
また、赤字でも確定申告は必須です。
期限や経理処理に注意しつつ、計画的に申告作業を進めましょう。
将来の節税や経営改善を考えている場合は、必要に応じて税理士などの専門家への相談を検討してみてください。
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